「もうちょっと」は一日一回まで

浅い感想とか愚痴とか垂れ流してる

何でこんなに面白いのに1年で終わっちゃうの?/『おんな城主 直虎』

面白かった!

最初は女性脚本家が描く女性主人公なんて、江のトラウマが蘇り不安だったんですがそんなことなかった。子供時代はほのぼのしつつも、幼馴染2人がいて「やったことないけど乙女ゲーとかいうやつかな?」と思ってたけども、大叔父さんが首桶になって帰ってきたあたりから、「あれ?これは何か違う」とか思っていたらやはり色々違っていた。途中からほのぼのの被った殺伐だった。「戦は嫌にございます!」とか女性がよく言ってるのを「お願い、もうそういう辛い展開はやめて」とか視聴者側から言わせてくれるほど殺伐してた。殺伐ばかりでなくても、善意の積み重ねが悲劇に至ってしまうような無情で残酷な演出とか、心抉られたけども見ごたえがあった。

お話も秀逸だったのだけれども、何より素晴らしかったのは今川氏真公の描き方。あの方、家を潰した暗愚な凡将みたいな描かれ方されがちだたけども、最終回にも出るように徳川の食客というか外交官みたいなことしながら、徳川の世話になり続けるからね。高家として作法の先生みたいなことしながら、あの名門ならではの教養を用いてお家を続けていくからね。戦場ばかりが戦いでは無いと言うのを教えてくれる生き様だけれども、それをちゃんと描いただけでなくて、それも活き活きとカッコイイ氏真公として描いてくれたというのも実に素晴らしい。ほんと、時運と信玄とかいう親戚に恵まれてなければ、義元の死後も今川が大国としてあり続けてるんだから、

他にも、信玄や寿桂尼といった有名な人々だけでなくて、名前が残っている残っていないに関わらず全ての人たちの描き方も面白かったし満足。あまり有名でないというか、まぁ信長の野望とかにも登場しないような武将の方々や、名前も残らないような農民たちの暮らしとか。方久を使っての経済の話や、逃散や山の木々の扱いやそれに伴うトラブルの話とかも有名な武将だと描きにくい所にやってたのも面白かったし、おもしろいだけでなくて後々話に効いてくるのも面白かった。

散々言われているけれども、この大河は史実をしっかりなぞりながらも俗説や色な人たちのエピソードも「もしかしたら?」という風に間を埋めるようにして使ってくれたりしてくれているので、お話も面白ければ登場人物も活き活きとしていて見ていて楽しかった。だから楽しかったし人物がステキだったんだ。あの氏真公なら、晩年になって家康と駄弁るためにひょいひょい江戸城に通っちゃうのもなんか分かるし。数話に渡っての伏線を丁寧に拾って因果は巡ることとか、それを断ち切って次の時代に進んでいく様子とかも良く出来ていた。そして直虎達が遺してくれた新たな時代に進んでいく大河ドラマ井伊直政』がどうして始まらないの?最後そういう流れだったでしょ?面白かったけども、この大河が終わるのが名残惜しすぎてとても寂しい。