何で吸血鬼は美形って相場が決まってんだろう?/『モールス』
初っ端から不穏な音楽、やっぱりこれはホラーだ。
以前見た『ぼくのエリ 200歳の少女』をアメリカを舞台にリメイクしたもの。
字幕で鑑賞したけども、なんだかやはりエリというかアビーの口調が明らかに女の子の言葉遣いになっているのにもやっとしたものを感じる。
『ぼくのエリ』では気にしなかったけども、原題は『Let Me In』で「中に入れて」という感じのタイトル。元の小説のタイトルも似たような意味のようだけども、家人に中から呼び入れてもらえないと家に入ることが出来ないっていう吸血鬼の特性から来てるんだろう。『ぼくのエリ』でもそれに由来しているシーンはあったけども、ある程度そういう知識がないとピンとこないだろうと思うので、どうしてこういう邦題になったかは気持ちはわからなくもない。
大まかなストーリーは一緒だが、せっかくのリメイクだものところどころ違いがある。舞台とかそれに伴うキャラクター名の変化の他に、ちょっと展開が早いかも。早いというか、異常さの正体を表すタイミングに奥ゆかしさが足りない。そのへんも国民性なのか、リメイクだからまぁある程度はわかっているだろうということなんだろうか。私は元の映画のタイミングの方が良い。そして、グロテスク具合とかも奥ゆかしさが足りない。はっきりと判らないからこそ不気味に見えるとかいう演出が足りてないというか、はっきりしすぎというかこっちの映画のほうがグロさがけっこうパワーアップしてる。悪く言えば、繊細さが足りない。
そうだ、繊細さといえば主人公の少年が鬱屈とした感情を抱く原因の描き方がも変わっていた。父親との関係とかその辺が『ぼくのエリ』のほうが掘り下げてあったけども、こちらは浅いというか、比べると圧倒的に情報量が少なくなっている。置き換えたりしてるとしても、やはり全体的に周りを描くところが圧倒的に少なくなってる気がする。そういうのは惜しかったかな。
映像はスウェーデンのほうがキレイ。プールのシーンでとりわけそう思った。
元が良くて変な改変もないと安心して見れるし、非情に満足な映画。
同じ小説を元にしたスウェーデン映画も見てます。
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