ノラの過剰投与はやめていただきたい/『まあだだよ』
甘木君といえば、内田百閒の作品レギュラーなので所ジョージってば大役だなぁ。
一番見たかったクロサワ映画をようやく見るのである。田舎のレンタルじゃナカナカ見つからなかったので、実にインターネット万歳。
ざっくりとしたお話の内田百閒とその弟子というか教員時代の教え子達との交流のお話である。原作は一応内田百閒ということにはなっているけれども、特にコレだという作品は無いようだな。多くの作品からのエピソードを抜粋して上手い具合に作っている。お話に山場もなく、ただただ先生と教え子たちの交流を描いているので、これはストーリーを楽しむというよりも、雰囲気を楽しむべき映画だなぁ。
松村達雄が演じる百鬼園先生、ステキな小父さんの雰囲気があるけども、いささか本物の百鬼園先生の写真と比べるとえらく温和そうだと感じる。ほら、百鬼園先生てば大好きな電車に乗ってる写真見てもぶすりとしているから。実際に教え子たちに慕われてたことを考えると、あの写真のイメージ通りではないだろうけど。
内田百閒は明治の人だから作品の文体が不慣れで読みづらいけれども、今でも十分面白い。『御馳走帖 』とかなんかよく分かるし、大手まんぢゅうが食べたくて仕方なくなる。『ノラや 』は非常に有能なペットロス専用トラウマスイッチと作動する。いや、ペットを飼ったことがなくっても、『ノラや』は涙腺刺激されまくるからほんとしんどい。